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自社株評価を下げる4つの方法|事業承継前にやるべき対策 | サンソレイユ税理士法人

自社株評価を下げる4つの方法|事業承継前にやるべき対策

Column

自社株評価を下げる4つの方法|事業承継前にやるべき対策

中小企業オーナーが事業承継を進めるとき、最大の壁になるのが自社株の評価額です。利益を上げて純資産を積み上げてきた優良企業ほど、自社株評価が膨れ上がり、後継者が承継時に背負う相続税・贈与税が重くなります。だが自社株評価は固定ではありません。評価方式の仕組みを理解し、計画的に手を打てば、評価額を半分以下に圧縮することも可能です。本記事では、自社株評価の計算ロジックを整理しつつ、評価を引き下げる4つの実践的な方法を解説します。

自社株評価はどう決まるのか

非上場株式の評価は、財産評価基本通達に基づいて行われます。会社規模(大会社・中会社・小会社)によって、次の2つの方式を組み合わせて計算します。

評価方式 算定方法 反映される要素
類似業種比準価額 類似上場企業の株価 × 自社の利益・配当・純資産の比 利益・配当・純資産
純資産価額 帳簿純資産を相続税評価額で再評価した実質純資産 ÷ 発行株数 含み益・含み損

大会社は類似業種比準価額が原則、小会社は純資産価額が原則、中会社は両者の併用になります。会社規模は従業員数・総資産・取引金額の組み合わせで判定されます。

実務的なポイントは、類似業種比準価額が「利益・配当・純資産の3要素」、純資産価額が「実質純資産」で決まること。どの要素を下げれば評価が下がるかが、後述する4つの方法に直結します。

方法① 役員退職金で利益と純資産を下げる

最も効果が大きいのが、現経営者の役員退職金支給です。退職金は次の3つの効果で自社株評価を引き下げます。

  1. 損金算入で当期利益が大幅に減る → 類似業種比準価額が下がります
  2. 現預金が社外流出する → 純資産価額が下がります
  3. 配当原資が減る → 配当要素も下がります

たとえば長年経営してきたオーナー社長が役員退職金1億円を受け取る場合、当期利益から1億円が控除され、純資産も1億円減ります。利益・純資産の両方が同時に下がるので、類似業種比準価額・純資産価額のどちらの方式でも評価額が大きく下がります。

退職金額の妥当性は「最終報酬月額 × 在任年数 × 功績倍率」で判定されます。功績倍率は社長で2.5〜3.0倍が一般的な範囲で、過大と判断されると損金算入が否認されるリスクがあります。事業承継前の退職金は、税務調査でも論点になりやすい項目なので、根拠資料(株主総会議事録・退職金規程・同業他社水準)を揃えておきたいところです。

退職金支給と事業承継のタイミングを合わせると、評価引き下げ後の株価で贈与・譲渡ができます。具体的な手順は事業承継はいつ始めるべきかを参照していただきたいところです。

方法② 含み損のある資産を売却・処分します

純資産価額方式では、含み益・含み損を相続税評価額ベースで再評価します。含み損のある資産を抱えていると、それを売却・処分することで純資産が減り、自社株評価が下がります。

具体的には次のような資産が対象になります。

  • 取得価額より時価が下がった有価証券
  • 評価額より低い建物・設備
  • 不良在庫・長期滞留債権
  • 帳簿価額より低い投資有価証券

これらを売却・除却・貸倒処理することで、損失が計上され、当期利益・純資産が下がります。会計上の損失は税務上も認められれば、類似業種比準価額の利益要素も下がり、二重の効果があります。

ただし、損失計上のために無理に資産を処分すると本業に支障が出るので、もともと不要だった資産・回収困難だった債権など、合理性のある対象を選びます。決算期末の数か月前から候補を洗い出し、税理士と相談しながら処理していくのが実務的な手順です。

方法③ 不動産を購入して純資産価額を圧縮します

会社で不動産を購入すると、財産評価基本通達上の評価額(路線価ベース)と取得価額の差で純資産価額が下がります。たとえば1億円で購入した収益不動産が、相続税評価額(路線価×0.8〜)で6,000万円と評価されれば、純資産価額は実質4,000万円圧縮されます。

さらに、購入した不動産を賃貸に出すと「貸家建付地」「貸家」評価が適用され、自用の場合より評価がさらに15〜20%下がります。

ただし、2022年に「マンション節税」が最高裁で否認された判決(令和4年4月19日)が出ており、税務上の合理性が問われる場面が増えています。否認リスクを下げるためのポイントは次のとおりです。

  • 購入から相続発生まで一定期間(少なくとも3年以上)の期間を確保します
  • 賃貸事業として継続して運用する(短期売却を目的にしありません)
  • 会社の事業内容と不動産投資の関連性に合理性を持たせる

不動産購入は資金繰り・税務リスク・運用負荷の総合判断が必要で、税理士・不動産専門家・弁護士の連携が前提になります。安易な節税スキームに飛びつかず、本業の事業計画と整合する範囲で検討したいところです。

方法④ 持株会社化・種類株式の活用で評価を分離します

オーナー個人が直接保有していた事業会社の株式を、新設した持株会社(HD)に移すことで、株価の上昇を持株会社側で吸収し、オーナー個人が保有する持株会社株式の評価上昇を抑える方法があります。

スキームの概要は次のとおりです。

  1. オーナーが100%出資して持株会社を設立
  2. 持株会社が金融機関から借入して、オーナーから事業会社株式を買い取る
  3. オーナーは現金を受け取り、持株会社が事業会社の株主になります
  4. 持株会社は事業会社の配当で借入を返済していきます

このスキームのメリットは、持株会社の純資産価額が「事業会社株式 − 借入金」で計算されるため、借入金が大きい間は持株会社株式の評価が抑えられる点です。事業会社の業績が伸びても、その上昇分が借入金返済に吸収される構造になります。

また、種類株式(議決権制限株式・配当優先株式など)を活用して、後継者に議決権を集中させつつ、他の相続人には配当優先株式を渡すことで、経営権の集約と相続人間の公平性を両立させる手法もあります。

持株会社化や種類株式の活用は、税制・会社法・金融機関融資が絡む大型の組織再編で、設計から実行まで1年以上かかることが多いです。事業承継税制の特例措置(事業承継税制の特例措置をわかりやすく解説)と組み合わせると、税負担をさらに圧縮できるケースもあります。

評価引き下げと事業承継税制の組み合わせ

自社株評価の引き下げと、事業承継税制の特例措置(納税猶予・免除)を組み合わせると、税負担を最大限に圧縮できます。

事業承継税制は、後継者が自社株式を相続・贈与で取得した場合に、相続税・贈与税の納税が猶予される制度です。猶予された税額は、5年間の事業継続要件と、後継者が次の世代に承継するときの再猶予で、最終的に免除されます。

特例措置の申請期限は2027年3月31日(特例承継計画の提出)、贈与・相続の発生は2027年12月31日まで。期限が迫っている制度なので、自社株評価の引き下げと並行して、特例承継計画の作成・提出を進めるのが定石になります。

M&Aによる事業承継を選ぶ場合は、自社株評価より「企業価値」「のれん」の評価が重要になります。詳しくはM&Aによる事業承継という選択肢で解説しています。

松本市・長野県の中小企業オーナーへの示唆

長野県の中小企業は、製造業・建設業・観光業・農産加工など、地域に根差した業種が多いです。長年の利益蓄積で純資産が厚い会社ほど、自社株評価が高くなりやすいです。

サンソレイユ税理士法人で扱う事業承継案件では、現経営者が60代後半〜70代で「そろそろ後継者に渡したいが、株の引継ぎでいくら税金がかかるかわかりません」という相談が多いです。まずは現時点の自社株評価を試算し、評価引き下げの余地を見極めた上で、5〜10年の引継ぎロードマップを設計するのが基本的な流れです。

松本市内では、家族経営の中小製造業で「息子に継がせたいが、設備投資の借入が残っていて自社株評価が思ったほど高くありません」というケースもあります。逆に、無借金・高純資産の優良企業ほど評価が高く、対策の余地も大きいです。会社の財務状態によって、有効な手法が変わってきます。

事業承継全体の進め方や、後継者育成も含めた中長期計画は事業承継サービスで確認できます。

まとめ|株価引き下げは「タイミング × 組み合わせ」が決め手

自社株評価の引き下げは、退職金・含み損処分・不動産購入・組織再編という4つの軸で進められます。それぞれ単独で実施するより、複数を組み合わせ、事業承継税制の特例措置と並走させる方が、税負担圧縮の効果は大きくなります。

ただし、すべての手法には実行タイミング・税務リスク・本業への影響がついてきます。「節税ありき」で進めると、後で税務調査で否認されたり、本業の競争力を削いだりするリスクがあります。事業承継は、税務・会社法・金融・人材を総合して設計する長期プロジェクトです。

自社株評価の試算や、事業承継のロードマップ作成について確認したい点があれば、まず相談してみてください。
フリーダイヤル 0120-971-131(受付 9:00〜17:30)

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